記事2026年8月17日 · 9 min read

はい、リベラルアーツの学生であるあなたこそが熱力学を取るべきです。

時には、飛び込んで泳ぐしかない。それが一番の学びです。

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TL;DR(要点)

時には、飛び込んで泳ぐしかない。それが一番の学びです。

なぜ、伝統的にSTEM(科学、技術、工学、数学)分野と見なされない専攻の学生もSTEM科目が必須科目となっているのでしょうか?学生や教授にその負担をかけないほうが、よっぽど効率的なのでは?

…いや、そんなことはありません。

成長するには居心地の悪い状況に身を置き、打ちのめされる経験が必要です。楽なことだけして、難しいことを「自分に関係ない」と片付けては、成長することはありません。

背景

毎年、うちの学部には学生が事務室に駆け込み、こう訴えます:

  • なぜ文系なのに物理を取らないといけないのですか?
  • なぜ統計は必須科目ですか?

時には、何を申し込んだのかをちゃんと読んで来なかった学生として切り捨てたい気持ちはあります。ウェブサイトや合格発表・オリエンテーションなどで渡された書類には理系科目が必須であることが明記されています。自分はしっかり理解した上で入ったのに、なぜこの学生に文句が言えますか、と。

しかし、振り返ってみると同じような自分の姿が見えます。今の学生の文句は私の小・中学校時代の数学に対する反発とほぼ同じです。

実生活で使うなんて、足し算、引き算、掛け算、割り算くらいでしょう。なんで数学をやらなきゃいけないの?

でも、どうせ使わないでしょう…

一見すると、その通りです。

何気ない火曜日で、理想的な条件における密閉空間の中の分子の速度を計算することはまずないでしょう。縦列駐車をする際はコサインを計算する必要はありません。世帯所得の中央値を理解するにはp値とは何かを知る必要はありません。そもそも、数学が必要な時はお手元の電卓やアプリに任せればいいでしょう!

大人になった今言えるのは、街を歩いていて最短経路を探すために三角関数を使うことなんてない、ということです。エアコンをつけるときに密閉空間における分子について考えていません。冷気を外に逃さないためにドアを閉めることかどうかだけを考えています。理系の授業で習ったものの大半を使うことはありません。

そうだけれども…

理屈が通りません…

理系の学生がSTEM科目を受けることは当たり前です。そうでなければなぜ彼らは理系専攻にいるでしょうか?しかし、理系とは言えない、あるいは理系とは限定されていない学生はどうでしょうか?

もしSTEM科目を受ける理由がないならば、そこに学校・大学の資源を割かないのは効率的ではないのでしょうか?なぜ教員に給料を払い、動くかどうか怪しいエアコンに電気が流し込まれ、事務室の職員が毎年「なんで物理を取らないといけないのですか」というクレームを耳痛いほど聞かなければならないのでしょうか?学校は本当にそれほど効率が悪いのですか?それともSTEMの授業は、マネーロンダリングの隠れ蓑に過ぎないのでは???

違います。

この2択だけです。

沈むか、泳ぐか

受かるかどうか分からない試験のために、なぜ午前2時に行列の計算方法を勉強しているのでしょうか?授業以外で使うことはありません。試験前焦っている君はこれに気づいていて、教員も分かっています。実は、最初から行列の話ではありません。

自分にとって未知な状況において身を置き、不利な条件の中でどう優れた成果を上げるのかを学ぶ、ということです。

これは、私が日本語を学んだプロセスと似ています。自分は必ずしも自分の選んだ道を進む必要がありませんでした。インターナショナルスクールや日本語学校に通い、今よりずっと手厚いサポートを受けながら学べたはずです。芥川の作品や源氏物語などに一切触れずにより楽な道を選べたはずです。日常会話で必要な分だけ学べば、それで十分だったかもしれません。

しかし、今の自分になるためにはあの道を進む必要がありました。全力を尽くしても失敗をし続ける感覚を味わう必要がありました。友達が使っているスラングを理解できず、周囲についていけずに打ちのめされる必要がありました。失敗を受け入れながら、少しずつ前に進む方法を学ぶ必要がありました。

日常生活において古典文学を引用することはあるませんし、これからも必要もないだろう。覚えた漢字の中で、使う必要がないものは数えきれないほどあります。代替となる字があり、Google翻訳使えば何とかなります。ここで重要なのは、それらを学ぶための苦労です。

だから、リベラルアーツの学生であるあなたこそが、熱力学を取るべきです。物理を学ぶことは目的ではありません。

苦労をすることは当たり前です。午前1時46分に「もう、終わりだ」と感じることも重要な経験です(本当は試験前は寝るべきですけど)。あなたが本当に成長するのは、自分のコンフォートゾーンから出た時だけです。